WOWOWドラマの鉄の骨と原作を読んでの感想

 半沢直樹で有名な池井戸潤さんの初期の方の作品である鉄の骨というドラマを見た。こちらは、舞台は2000年代の前半のあたりの、建設現場での談合という事件が結構世間を騒がせていた時代が舞台です。

以下ネタバレを含みますのでご留意ください。

内容は、主人公の富島平太が談合という世界に巻き込まれながらその葛藤などを描いていくという話です。どうなっていくんだとうはらはら感は相変わらずあり、どんどんと先の展開が気になり、はらはらさせる感じです。

私の場合は、最初にドラマを見て次に小説を見るという順番でした。なお、NHK版のドラマは見たことありません。

Wowow版のドラマの方は、現時点では、Paraviなどのサイトで閲覧することが可能です。ParaviはTBSやWowowやテレビ東京の番組が充実しているというのが利点で、テレビを保有していない私は、こちらでテレビ番組を楽しんだりしています。

テレビ版を見て、三橋萬造さんは最初は乗り気でなかったのに、なぜ地下鉄工事の談合をすることになったのか、そこがすっきりしなかったのですが、小説版を見てもそこのもやもやを解消することはありませんでした。小説版では、三橋さんの妻の兄が政治家の城山という関係が描かれていましたが、そうだとしても、この心情だけは描かれておらず不明な感じでした。この部分だけがすっきりしなかったというのが見ての感想です。

あとは、池井戸さんの作品で恋愛ものという要素はあまりない印象なのですが、こちらについては、談合の中に恋のバトルの話も盛り込まれていたりするのも印象的でした。

ドラマ版と小説版の両方を見思ったのは、ドラマ版はかなり原作に忠実に書かれているなと感じました。何点か違いがありました。違いは下記あたりでしょうか。

  • ドラマ版では、工事の画期的な値下げのきっかけを作ったのは、主人公平太だったが、小説版では、平太の上司の西田さんが仕掛けたものとなっている。
  • ドラマ版と小説版では、平太が業務課に残るかどうかにおいては結末が異なり、ドラマ版は、業務課に残る決断をするが、小説版は現場に残るという決断をする。
  • 平太の現場の上司の永山と取締役の尾形の関係もやや異なっており、ドラマ版では深い中で描かれていたが、小説版では関係がないという設定になっている。これは、一つ上に書いた結末の差異とも関連している可能性があります。
  • 平太の彼女の萌と萌の上司の園田の関係は、ドラマ上での関係よりも小説版の方がより深い関係になっています。小説の方は、夜に二人でホテルに行ったりする描写があったり、園田のご両親にあいさつに行くという描写があります。萌が園田から離れるという強いきっかけになったのがこの小説版の訪問での園田の母との出会いで、ここはテレビ版と異なる部分でした。
とこまかい枝葉の部分についての差異を書いてみましたが、(実際はいろいろ細かい差はもっとあります。)、大筋はドラマと同じ展開でした。しいていると、ドラマ版は、取締役の尾形を内野聖陽が担当したということもあるのか、ややかっこよく描かれているかなという印象もありました。小説版は、あまり出てこずにどういう人なのかというのはあまり描かれずにどちらかというと悪人というイメージで結末を迎えていました。この差異が、上で書いた2つめの最後に平太がどちらの部門に残るのかに影響を与えている気がします。

参考)

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